「トイレで壁紙を観る」/2017

【制作年 2017年】
【発表 いりや画廊若手支援プロジェクト】

【ステートメント】

我が家のトイレは狭い。部屋の作りの都合で側面がドアとなっているので、便座に座ると目の前は壁だ。見つめていると壁紙の凹凸や陰影に様々な顔や形状を見出す。
むろんトイレ同様に狭い賃貸のアパートの一室で制作をしていると、キャンバスは40号も超えればただの壁、状態である。試しにS30号、F30号、M50号2枚、F50号2枚、計6枚のキャンバスをコの字型に組み合わせると、トイレとほぼ同じ狭さの空間を再現できた。
アルテ・ポーヴェラ(≒もの派)、貧しい芸術。
この狭さが私に壁を視せる。
見慣れたものが自身の中で作品へ昇華されるのはどの瞬間か。連続する時間からその瞬間を見極め、切り取る。
その切り口の見せ方を問うていくことを私のアートと考える。
これはデュシャンの「泉」から100年を迎え、ただ生活している私の体感を美術史へ接続するひとつの試みである。

【作品プラン】
S30号、F30号、M50号2枚、F50号2枚、計6枚のキャンバス(すべて壁紙を貼り、刺繍したもの)をコの字型に組み合わせ、個室トイレを想起させる空間を設営)

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慈 Itsuki

慈(Itsuki) 貸民家プライベイト管理人